「シルバーブリーズ」は川崎近海汽船が運航するフェリーで、
青森県の八戸と北海道の苫小牧をおよそ8時間で結んでいます。
苫小牧の入出港が深夜となる船のため、夜行便として人気の「シルバーエイト」や「シルバープリンセス」などと比べると、一般旅客の利用は少なめです。
しかし、その静かな船内環境や落ち着いた航海時間を活かせば、意外と便利に使える場面もあります。今回はシルバーブリーズの活用法を紹介します。
シルバーブリーズとは

船の基本スペック
シルバーブリーズの基本的なスペックは以下の通りです。
総トン数 :8,901t
全長 :144.1m
航海速力 :20.0ノット(時速に換算すると約37km/h)
車両積載能力:12mトラック70台/乗用車30台
定員 :400名
就航年 :2021年
船の大きさや速力などはシルバーフェリーの他の3隻とほぼ同じですが、定員は400名と最も少なくなっています。
就航は2021年と、シルバーフェリーの4隻の中では最新、末っ子のフェリーです。
客室の種類
この船には一般客向けに「特等」「1等」「2等寝台」「2等」の4つの等級の部屋が用意されています。
特等室(6名:2名×3室)

シルバーブリーズで最もランクの高い「特等」になります。定員は1部屋につき2名です。
冷蔵庫やユニットバスも完備されており、まるでホテルの客室のような豪華さが特徴です。
1等室(28名:4名×4室・2名×6室)

1等室には定員が2名、または4名の部屋があります。特等室よりも安く、広い個室の中で仲間とのんびり過ごすことができます。

また、1等室には「ペット同伴室」の設定もあります。愛犬や愛猫もお部屋まで連れていき、一緒に船旅を楽しむことができます。
2等寝台A(56名:1名×56室)

こちらは「2等寝台A」。定員1人の個室です。
一応「2等」とついているので、部屋の設備はシングルベッドと椅子・机、コンセントといった最低限ものだけですが、その分安く個室を利用することができます。
2等室(232名:24名×8室・22名×1室・18名×1室)

最後に「2等室」。こちらはいわゆる「雑魚寝の大部屋」です。
シルバーフェリーの他の3隻と同じように座席は指定されており、マットレスと仕切りがついています。
トラックドライバー室(78名:1名×78室)

最後に「ドライバーズルーム」です。基本的な構造は「2等寝台A」と同じです。
この部屋はトラックドライバーさんの専用の部屋となっています。
船内設備
展望浴室

船の5階に位置しており、シャンプー・ボディーソープ、ドライヤーも完備。
営業時間内であれば誰でも無料で利用でき、大海原を眺めながらゆっくり過ごせます。
タオルの用意はないので、持参するか売店で購入して利用することになります。
<展望浴室の営業時間(男女共通)>
苫小牧→八戸:04:15~06:30/11:30~13:30
八戸→苫小牧:16:30~20:00
自動販売機(オートレストラン)
ドリンクや冷凍食品、カップラーメンなどを、航行時間中いつでも購入することができます。
電気ポットや電子レンジもあるので、持ち込んで調理することもできます。
プロムナード

2等室・2等寝台Aの両サイドに、テーブルと椅子が設置されており、誰でも自由に使用できます。
海を見ながらのんびり過ごすもよし、パソコンを広げて仕事をするもよし、ご飯を食べるもよし、使い方は様々あります。
ドッグルーム・ドッグラン


ドッグルームは12匹分。予約をすれば無料で使用することができます。
その横の外部デッキにはドッグランも完備。シルバーブリーズにしかない設備です。
運行ダイヤ
| 上り(苫小牧発→八戸行き) | シルバーブリーズ |
| 苫小牧(発) | 5:00 |
| 八戸(着) | 13:30 |
| 所要時間 | 8時間30分 |
| 下り(八戸発→苫小牧行き) | シルバーブリーズ |
| 八戸(発) | 17:30 |
| 苫小牧(着) | 翌日1:30 |
| 所要時間 | 8時間00分 |
シルバーブリーズは苫小牧港に深夜1:30に入港した後、朝5:00に出港していきます。
すなわち「苫小牧の入出港が深夜~早朝になる」という点が大きな特徴です。
料金
ここでは、シルバーブリーズに設定されている等級のみを抜粋します。
| 大人 | 子ども | 学生 | |
| 特等 | \15,000 | \7,500 | \15,000 |
| 1等 | \12,000 | \6,000 | \12,000 |
| 2等寝台A | \9,000 | \4,500 | \7,800 |
| 2等 | \6,000 | \3,000 | \4,800 |
シルバーフェリーの料金は4隻とも共通です。
この他「インターネット割引」や「復路割引」「障がい者割引」の設定もあります。
シルバーブリーズの役割
シルバーブリーズの大きな特徴として「苫小牧の入出港が深夜帯である」という点が挙げられます。
旅行者の視点に立つと、フェリーは「長い滞在時間の確保」「宿泊代の節約」などの目的から、日中に到着する便や早朝着の夜行便を選ぶ傾向があります。実際、苫小牧西港に着く他社フェリーを見ると、仙台発の太平洋フェリーは11:00着、大洗発のさんふらわあ夕方便は13:30着と、観光客に使いやすい時間帯が中心です。
| 上り (苫小牧→八戸) | シルバーブリーズ | シルバーエイト | シルバー プリンセス | シルバーティアラ |
| 苫小牧(発) | 5:00 | 9:30 | 21:15 | 23:59 |
| 八戸(着) | 13:30 | 18:00 | 翌日4:45 | 翌日7:30 |
| 利用状況 | 少ない | 少ない | 多い | 多い |
| 下り (八戸→苫小牧) | シルバー プリンセス | シルバーティアラ | シルバーブリーズ | シルバーエイト |
| 八戸(発) | 8:45 | 13:00 | 17:30 | 22:00 |
| 苫小牧(着) | 16:00 | 20:15 | 翌日1:30 | 翌日6:00 |
| 利用状況 | 普通 | 少ない | 少ない | 多い |
シルバーフェリーの夜行便も例外ではありません。八戸発の「シルバーエイト」、苫小牧発の「シルバープリンセス」「シルバーティアラ」は早朝に到着するため人気が高く、繁忙期には個室を中心に満室になることもしばしば。
一方、シルバーブリーズは苫小牧 1:30着/5:00発という深夜のダイヤ。観光客にとっては使いづらく、どうしても他3隻より利用が少なくなってしまいます。
どちらかというと、トラックドライバー向け!

では、シルバーブリーズはどのような人に利用されているのか。
その多くは、貨物輸送を担うトラックドライバーです。
この「八戸〜苫小牧航路」は物流量も非常に多く、約8時間の航海時間はドライバーにとって「休息」と「移動」を同時にこなせる効率の良いルート。大型トラックの利用も多いため、繁忙期には車両スペースが満載になり、やむを得ず他の航路を利用しなければならないほど混むことがあります。まずは「貨物輸送そのものの需要が大きいこと」にあります。
さらに、フェリーが深夜帯に入出港することには、実は大きなメリットがあります。
- 道路の交通量が少なく、都市部・港湾部の移動がスムーズ
- 高速道路の深夜割引が適用され、輸送コストを抑えられる
このため、深夜に着く・深夜に出るフェリーにも安定した需要があります。実際貨物利用にターゲットが絞られていることも多い新日本海フェリーや商船三井フェリーの深夜便も深夜に出港するダイヤとなっています。
シルバーブリーズの活用方法
基本的に空いている!
前述の通り、シルバーブリーズは貨物輸送を主にしたダイヤのため、一般客の利用が少ないのが大きな特徴です。その分、よほどの繁忙期でなければ他の3隻よりも空いており、のびのびと船旅を楽しむことができます。
船内で混みやすい展望浴室やオートレストランも、シルバーブリーズならゆったりと利用できます。
トラックドライバーの方が利用する客室や浴室は、一般客とは別フロアに分けられています。
そのため乗船中に一般客スペースが混雑することはほとんどなく、ゆったりと過ごせますのでご安心ください。
2等室も「ほぼ貸切」できちゃう!

シルバーフェリーで最もリーズナブルに利用できる2等室。
通常は大部屋で他の乗船客と同じ空間で過ごすため、苦手意識を持つ方も少なくありません。
しかし、シルバーブリーズの場合はとにかく空いているので、夜行便のように密集することはありません。
運がよければ、定員24名ほどの大部屋を「ほぼ貸切」で使えることも……!
広い空間を独り占めできる心地よさは、ある意味で特等以上かもしれません。
札幌に「少しでも早く」行ける!

八戸発のシルバーブリーズを使えば、札幌により早く到着することができます。
苫小牧から札幌へ最速で向かえるのは、苫小牧駅5:40発の在来線。札幌には6:45に到着します。
夜行便「シルバーエイト」(八戸22:00発)では、札幌到着は最速で7:10。
一方、シルバーブリーズなら苫小牧1:30着なので、始発列車にも余裕で間に合うのです。
到着は深夜ですが、苫小牧西港のフェリーターミナルは24時間開放されており、ベンチやUSB電源付きテーブルも完備。明るくなるまで快適に待機できます。
ペットとも一緒に船旅を楽しめる!

「シルバーブリーズ」は、シルバーフェリー4隻の中で最もペット向けの設備が充実しています。
- 1等ペット同伴室 :5部屋
- ペットルーム(ゲージ数) :12
- ドッグラン(シルバーブリーズだけ!)
従来から人気の「1等ペット同伴室」や「ペットルーム」のゲージ数も最大規模で、さらにドッグランまで備えているのはシルバーブリーズのみ。
7~8時間の航海を、ペットと一緒にのびのび楽しめるのは、この船ならではの魅力です。
まとめ

- シルバーブリーズは苫小牧の入出港が深夜帯→貨物輸送に特化したダイヤになっています
- その分一般客の利用は少なく、他の夜行便の船よりも快適に過ごせます
(2等室を貸切できちゃうかも!?) - ペットと一緒に旅行するならおススメ(ドッグランはこの船にしかありません)
シルバーフェリーの中ではあまり注目されない存在ですが、実は「快適に過ごせる理由」がしっかり詰まっています。
ぜひ皆さんも、シルバーブリーズでのんびり8時間の船旅を体験してみてください。
それでは、また次回お会いしましょう。

