【二戸→一ノ関】岩手県を最速で縦断してみた【はやぶさ394号】

おトクな利用方法

皆様こんにちは。Kasaの旅路へようこそ。

日本で2番目に面積が大きいことで知られる岩手県。東京~新青森を結ぶ東北地方の大動脈・東北新幹線もこの県を通っていますが、岩手県内にいくつ駅があるかご存じでしょうか?

出典:いわて県内のアクセス/いわての旅(https://iwatetabi.jp/in-iwate/

実は、岩手県内だけでも7つ駅が存在します。
最北端の二戸駅から最南端の一ノ関駅までは、営業キロにして155.9km。車で縦断しようとすると、高速道路を使っても約2時間はかかってしまうほど――それだけ岩手県は広大なのです。

そんな中、東北新幹線では連休最終日を中心に、臨時列車「はやぶさ394号」が運転されています。
この列車の時刻表をよく見ると、県の両端にあたる「二戸」と「一ノ関」のどちらにも停車し、なおかつ“最速”で県を走り抜けることが分かりました。

今回は実際に乗車しながら「はやぶさ394号」について紹介していきます。

今回取り上げる「岩手県を最速で縦断する列車」は、県の両端である「二戸」「一ノ関」の両駅に停車する便のみを取り上げます。
したがって、厳密には「岩手県を最速で通過する列車」ではない点、あらかじめご了承ください。

「はやぶさ394号」とは

・列車名 :はやぶさ 394号
・列車番号:2394B
・設備  :全車禁煙/全車指定席/グリーン車指定席/グランクラス/普通車全車指定席
・運転区間:新青森(17:33発)→ 東京(21:00着)

「はやぶさ394号」は、東北新幹線の新青森→東京で運行される臨時列車。
主に連休の最終日に運転され、東京方面へのUターンラッシュを支える役割を担っています。

駅/列車名はやぶさ 34号はやぶさ 394号はやぶさ 36号
新青森(発)17:2217:3317:44
七戸十和田17:4817:59
八戸18:0118:12
二戸18:1418:24
いわて沼宮内
盛岡(着)18:1018:3518:45

新青森を夕方17時半すぎに出発し、前後には定期列車の「はやぶさ34号」「はやぶさ36号」が運転。そのちょうど間を縫うように走行するのが「はやぶさ394号」です。

時刻表と停車駅

駅/列車名はやぶさ 394号
新青森(発)17:33
七戸十和田17:48
八戸18:01
二戸18:14
いわて沼宮内
盛岡18:36
新花巻
北上
水沢江刺
一ノ関19:01
くりこま高原
古川
仙台19:24
大宮(着)20:35
上野(着)21:54
東京(着)21:00

停車駅は上の通りです。

新青森~盛岡間はこの列車の後ろを走る「はやぶさ36号」と全く同じ停車駅。この時間帯は新幹線利用が特に多く、どの駅からも東京方面へ向かう乗客で混雑します。

しかし、前を走る「はやぶさ34号」は新青森→盛岡をノンストップで走行。そのため「はやぶさ394号」は七戸十和田・八戸・二戸3駅からの需要を取り込む目的で、途中の二戸までは各駅停車となっています。なお、いわて沼宮内駅は3駅ほどの需要はないため、この列車は停車しません(というよりいわて沼宮内駅には臨時列車は全て停車しない)。

一方、盛岡~仙台間では途中の一ノ関駅のみに停車。盛岡以北から来る「はやぶさ」号は基本的に盛岡~仙台をノンストップで走行しますが、この列車は一ノ関にも停車します。

一ノ関駅は岩手県内で2番目に利用者が多く、東北本線のほか大船渡線も乗り入れています。周辺には「平泉」「猊鼻渓」「気仙沼」などの観光地が点在し、特に夕方は上り列車が混雑しがちです。
また、盛岡と仙台のちょうど中間に位置していることから、この駅のみ停車する「はやぶさ」「こまち」も多く設定されています。

「盛岡以北~一ノ関」を乗り換えなしで移動できる

このような停車パターンにより「はやぶさ394号」は盛岡以北~一ノ関を乗り換えなしで移動できる数少ない列車となっています。

前述のとおり、盛岡以北を発着する「はやぶさ」「こまち」の多くは「遠近分離」の考え方に基づき、盛岡~仙台をノンストップで運転します。そのため、一ノ関に停車するのは盛岡発着の列車が中心です。
したがって、「青森県内から一ノ関まで乗り換えなしで移動したい」という利用者にとっては「はやぶさ394号」は非常に便利な存在といえるでしょう。

盛岡~仙台は自由席特急券でも利用可能

「はやぶさ」号は全車指定席ですが、盛岡~仙台間にはこんな特例が設けられています。

仙台~盛岡間の途中駅に停車駅が設定されている「はやぶさ・はやて・こまち」号は、同区間を相互に利用する場合に限り、自由席特急券で普通車をご利用になれます。

(出典:えきねっと よくある質問
https://secure.okbiz.jp/eki-net/faq/show/4085?category_id=260&site_domain=default

「はやぶさ394号」は途中の一ノ関駅に停車するため、自由席特急券でも利用できます

この特例が使える「はやぶさ」号は、盛岡~仙台間が各駅停車のタイプが多く、所要時間はおよそ1時間15分。しかし「はやぶさ394号」は途中1駅しか停まらないので、盛岡~仙台をわずか46分で結びます。
ノンストップの「はやぶさ」号でも最速39分かかることを考えると、自由席料金で「安く」「速く」移動できる、まさに“乗り得”な新幹線といえるでしょう。

車内販売はない

「はやぶさ394号」は臨時列車なので、車内販売はありません。また、車内には自動販売機などの設備もありません。

この列車は夕方から夜にかけて運転されるため、車内で夕食を取る方も少なくないでしょう。ところが、飲み物や食べ物を買い忘れてしまうと、最大で3時間半近く「メシ抜き」になってしまう可能性があります。

また、この列車は各駅の停車時間が短いため、下車して買い物をする余裕もありません

飲み物や軽食事前に買ってから乗車しましょう!

なぜ岩手県を最速で縦断できるのか

実は今回取り上げている「はやぶさ394号」以外にも「二戸」「一ノ関」両駅に停車する列車はいくつか存在しますが、なぜこの列車が最速なのでしょうか。

まずは、この両駅に停車する上り列車の時刻表を見て比較していきます。

「二戸」「一ノ関」両駅に停車する上り列車の時刻表

<上り>

駅/列車名はやぶさ 8号はやぶさ 394号はやぶさ 96号
二戸(発)7:2918:1421:20
いわて沼宮内7:4221:33
盛岡(着)7:5418:3521:45
盛岡(発)8:0218:3621:51
新花巻22:03
北上8:1622:11
水沢江刺22:18
一ノ関(着)8:2919:0022:28

臨時列車を含め、該当する列車は3本ありますが、その中でも「はやぶさ394号」には他の2本とは異なる大きな特徴が2つあります。

県内の停車駅が最小限

岩手県内には7つの新幹線駅がありますが、「はやぶさ394号」が停車するのは二戸・盛岡・一ノ関のわずか3駅のみ。今回の条件である「二戸」と「一ノ関」のほかは、全列車が必ず停車する盛岡駅だけという、シンプルな停車パターンです。

鉄道は駅に停車するたびに減速・停車・再加速を行うため、停車駅が増えるほど所要時間も延びます。東北新幹線では、1駅停車するごとにおおよそ5分前後延びると言われています。停車駅を少なくすることで加減速の手間を省くことになり、所要時間が短くなることにつながるのです。

盛岡駅の停車時間が短い

上りの「はやぶさ」号の多くは、秋田方面からの「こまち」号と盛岡駅で連結作業を行います。そのため、盛岡駅ではおおむね5〜6分の停車時間が設けられています。実際、他の2本は連結作業を行うため、停車時間が長めに設定されています。

しかし「はやぶさ394号」は「こまち」との連結を行わず単独で東京へ向かいます。よって盛岡での停車はわずか1分間。この点も所要時間が短くなる要因になります。

これら2つの特徴から「はやぶさ394号」は二戸→一ノ関を46分で走破することになり「岩手県を最速で縦断する列車」に位置づけられるわけです。

乗車記(二戸→一ノ関)

ここからは、実際に「はやぶさ394号」を岩手県内の区間「二戸→一ノ関」だけ利用してきた様子をお伝えしていきます。

JR二戸駅にて

岩手県最北端の新幹線駅・JR二戸駅にやって来ました。
時刻は17:50。外は雨模様ですが、6月ということもあり、空はまだほんのり明るさを残しています。

新幹線の構内は広く開放的。それに対して、自動改札機がわずか2台しかないのには少し驚かされます。

ここ二戸市の人口は約23,000人。新幹線の利用者数も1日あたり700人ほどと、そこまで多くはありません。東京方面からの列車が到着する時間帯こそ混雑しますが、規模を考えればこの設備で十分なのかもしれません。

二戸市は、漆の生産量が日本一。「浄法寺漆」という名で知られています。
もしかすると、皆さんの食卓に並ぶお椀にも、この漆が使われているかもしれません。

また、故・瀬戸内寂聴さんが住職を務めた「天台寺があることでも有名です。

駅構内には漆掻き職人や、戦国時代に豊臣秀吉と戦った地元の英雄・九戸政実の顔はめパネルも設置されています。「これであなたも漆掻き職人!?」といったユーモアを感じさせる展示もあり、地元らしさにあふれています。

改札前の電光掲示板には、今回乗車する「はやぶさ394号」の表示が出ています。
停車駅欄には「盛岡」と「仙台」の間に「一ノ関」の文字。

基本的に二戸駅から発車する新幹線は盛岡~仙台をノンストップで走行するので、少し新鮮です。

こちらが今回使用するきっぷです。学割の乗車券と指定席特急券を合わせて5,380円
在来線(IGRいわて銀河鉄道・JR東北本線)を利用する場合よりも約2,000円高くつきますが、きっぷに記された一ノ関到着時刻は19時ちょうど。つまり、この新幹線はわずか46分で二戸から一ノ関を結びます。

在来線なら約3時間かかる区間を2時間も短縮できることを考えれば、むしろ“妥当”な料金なのかもしれません。

ホームに下りると、ちょうど下りの「はやぶさ29号」が到着していました。

二戸駅は2面2線構造で、通過列車はホームのすぐ脇を高速で走り抜けます。そのため、ホームドアが設置されており、安全対策も万全です。

駅名標を見てみると、左側には青森県の駅「八戸」が。確かに岩手県で最も北にある新幹線の駅です。

そしていよいよ、乗車する「はやぶさ394号」がホームに滑り込んできました。
車両は東北新幹線ではおなじみのE5系。この列車が一ノ関までわずか46分で連れて行ってくれます。

18:14 二戸→盛岡

18:14、定刻通りに二戸駅を発車。次の停車駅は「盛岡」。
この列車は二戸までは各駅停車でしたが、ここから先は通過運転を行います。

二戸を発車してすぐ、新幹線は長大な「岩手一戸トンネル」に突入します。
全長は約26kmかつて「日本一長いトンネル」として知られた区間で、時速260kmで走っても通過に7分ほどかかります。

二戸を出て10分ほどで、列車はいわて沼宮内駅を通過。
E5系の最高速度は320km/hですが、盛岡までの区間は“整備新幹線”と呼ばれるため、最高速度は260km/hに制限されています。体感的には「控えめな走り」ですが、それでも十分な速いです。

いわて沼宮内を過ぎても、車窓の外はトンネルの連続。東北新幹線の盛岡以北は山岳地帯を縫うように走っているため、地形の厳しさを改めて感じさせられます。

いくつものトンネルを抜け18:29、列車は盛岡市の北隣・滝沢市へ。二戸発車からわずか15分後のことです。
このあたりでは、並行する在来線「IGRいわて銀河鉄道」と並走します。

盛岡市内に入ると、新幹線は高架を駆け上がり、車窓には市街地の風景が広がります。

ほどなくして盛岡到着前の車内放送が流れますが、そこで耳にしたのは、少し珍しい案内でした。

「盛岡の次は、一ノ関に止まります

通常であれば「仙台に止まります」と案内される区間。
定期の新幹線で盛岡→一ノ関ノンストップ”というパターンは存在しないため、臨時列車ならではの光景です。

そして18:35、盛岡駅に到着。
二戸~盛岡はおよそ70km。車なら1時間半、在来線でも1時間10分かかる距離を、新幹線はわずか21分で駆け抜けてしまいました。

この圧倒的な速さに「やっぱり新幹線ってすごい…」と改めて実感。
しかし――この先で、さらに“新幹線の本気”を思い知らされることになります。

18:36 盛岡→一ノ関

盛岡は岩手県最大の都市。普段なら多くのお客さんが乗ってきますが、この車両に乗車したのは2,3人だけ。あまり多くない印象でした。
とはいえ、その理由も納得。わずか10分後には定期列車の「はやぶさ・こまち36号」が続行するため、多くの人はそちらを利用するのでしょう。

この列車は「こまち号」との連結がないため、盛岡の停車はわずか1分
ホームでは見送りに来た方の姿もあり、駅員さんが「お下がりください!」と注意を呼びかけるアナウンスが流れていました。

18:36、盛岡駅を発車。
車窓の左手には盛岡の街並みと、中津川が寄り添うように流れています。
この風景を見ると、「ああ、盛岡に来たんだな」と実感する方も多いのではないでしょうか。

次の停車駅は、今回下車する「一ノ関」。
盛岡発車時点で「次は、一ノ関に止まります」と案内されるのは、やはり新鮮です。

また、この列車は先述の通り、盛岡~仙台間は自由席特急券でも乗車可能
実際、車掌さんからも特例の案内放送がありました。

発車後、新幹線は一気に加速。あっという間に最高速度320km/hに近いスピードへ。

「はやぶさ」や「こまち」に盛岡~大宮間で乗車する場合は“ハイスピード料金”が加算され、「やまびこ」よりも少し高くなります。

二戸~一ノ関の特急料金は3,270円だが、ハイスピード料金を除くと3,170円である(NO3170と書かれている)。
今回ハイスピード料金として100円が追加で発生している。

今回私も乗車区間に盛岡より南の区間が含まれるため、ハイスピード料金が発生していますが、追加料金は一ノ関までならわずか100円。これくらいだったら誤差と言っても良いですが、追加料金がかかっている分、新幹線の本気の速さを味わえる貴重な機会になりました。

盛岡~仙台間を自由席特急券で乗る場合はハイスピード料金が含まれていないため、払わずに乗ることもできます。
そう考えると、ある意味「乗り得列車」ですね。

盛岡を出て12分ほどで、北上駅を通過。

最速の「はやぶさ8号」でも北上には停車しますが、今回はノンストップ。
そのため「いつもより速い!」と肌で感じます。

やがて水沢江刺も通過。ここまで通過した3駅は駅間距離が短いため、あっという間に過ぎ去っていきました。

ここから一ノ関までの区間は山間部を走るため、長いトンネルに入っていきます。

トンネルを抜けるとそこはもう一関市内。
眼下には田畑が一面に広がり、この一帯は北上川の氾濫を防ぐ遊水地でもあります。

そして間もなく一ノ関到着のアナウンス。

「一ノ関の次は、仙台に止まります

盛岡~仙台間で一ノ関しか停まらないため、当然一ノ関→仙台もノンストップ。そんな珍しい放送を聞きながら、下車の準備を整えます。

市街地の灯りが近づくと、旅もいよいよ終盤。
広大な岩手県を、わずかな時間で縦断してきたことに改めて驚かされます。

19:00 一ノ関駅到着

19:00、岩手県最南端の新幹線駅・一ノ関駅に到着しました。

二戸を出発してからわずか46分――1時間もかからずに到着です。
改めて、新幹線の速さを身をもって実感しました。

この列車は東京行き。一ノ関からも多くの乗客が乗り込んでいきます。
一方で、ここで下車したのは筆者を含めてわずか3人ほど
皆さん軽装だったので、恐らく盛岡からの利用客でしょう。

この列車は盛岡→一ノ関をノンストップで最速の24分で走破。
通勤・通学などの定期利用者にも使いやすいダイヤになっているのが特徴です。

乗降が済むと「夕暮れ時はさびしそう」の発車メロディーと共に「はやぶさ394号」は再び東京へ向けて静かに発車していきました。

おわりに

今回は「はやぶさ394号」に二戸→一ノ関間で乗車し、岩手県を最速で縦断する様子をお届けしました。

もともとこの列車は、連休最終日に東京方面へ帰る人向けに設定された臨時便。そのため、こうした使い方は想定されていないかもしれません。
しかし、結果的にこの列車が「岩手県を最速で縦断する新幹線」となっているのは興味深いところでした。

また、盛岡~仙台間は自由席特急券でも利用できノンストップ列車とほとんど所要時間が変わらない点も魅力。青春18きっぷの“ワープ”としても使いやすく、旅の幅を広げてくれる存在です。

現在は三連休の最終日や繁忙期を中心に運転されています。
皆様ももし「はやぶさ394号」を見つけてみたら、ぜひ乗ってみてはいかがでしょうか?

それでは、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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